Alice in Wonderland (不思議の国のアリス) — 原書で学ぶ英語 — 読書ガイド
Quick Answer: ウサギの穴に落ちたアリスがあり得ないお茶会、トランプの女王、狂った帽子屋に出会う英語ダジャレの博物館。童話の顔をしているが、実は英語がどこまで歪められるかを見せる本。
ウサギの穴に落ちたアリスがあり得ないお茶会、トランプの女王、狂った帽子屋に出会う英語ダジャレの博物館。童話の顔をしているが、実は英語がどこまで歪められるかを見せる本。
Category: Book Recommendations
Why read Alice in Wonderland?
この本は英語学習者が一番怖がるべき本であり、同時に一番愛すべき本。辞書に載っていない言葉が満載("curiouser and curiouser")。でもそのダジャレを一度気づくと、英語が突然生きた動物のように動き出すのが見え始める。
Why it's approachable
語彙自体は難しくない。文章も短い。本当に難しいのはダジャレ(pun) — 同じ発音の違う意味をひねって冗談を作る部分。最初は気づけなくても大丈夫。二度目に読んで見え始めたら、それが英語耳の本当の始まり。CEFR B1でもストーリーは追える。
英語のダジャレ(puns) — 同音異義語の世界
Mine is a long and a sad tale! — ネズミが'tale'(物語)と言ったのにアリスは'tail'(尻尾)と聞く。英語ダジャレの最も基本形。 We called him Tortoise because he taught us. — 'tortoise'と'taught us'の発音の類似を利用した学校ジョーク。英語がどう冗談を作るかを見せる一行。 Reeling and Writhing, of course, to begin with; and then the different branches of Arithmetic—Ambition, Distraction, Uglification, and Derision. — Reading/Writing → Reeling/Writhing、Addition/Subtraction → Ambition/Distraction。学校科目名を発音だけ変えて皮肉る英語の極限。
英語比較級の意図的破壊
Curiouser and curiouser! — 文法上'more curious'が正しいが、わざと'curiouser'。アリス自身が英語を忘れた状態を見せる英語ゲーム。 The more there is of mine, the less there is of yours. — 'the more X, the less Y'構文。英語比較構文の定石。 I'm older than you, and must know better. — 比較級+'must know better' — 大人の英語的優越感を一文に圧縮。
英語の韻(rhythm)と詩(verse)
Twinkle, twinkle, little bat! How I wonder what you're at! — 本来は'star'だが'bat'にパロディ。韻はそのまま。英語の詩のリズムで遊ぶ方法。 Beautiful Soup, so rich and green, Waiting in a hot tureen! — 歌'Beautiful Star of the Evening'のパロディ。英語の韻の基本形(ABAB)。 How doth the little crocodile improve his shining tail. — Isaac Wattsの道徳詩'How Doth the Little Busy Bee'のパロディ。英語文学の自己風刺。
英語イディオムの語源を解く
We're all mad here. — Cheshire Catのセリフ。'mad as a hatter'(完全に狂った)というイディオムの出典がまさにこの本。 Off with their heads! — 女王の定番命令。'Off with X!'構文は今も英語マンガ・ゲームでパロディされる。 Down, down, down. Would the fall never come to an end? — 'down the rabbit hole'(果てしなく落ちていく状態)の語源。YouTube・SNS時代の英語の核となるイディオム。
A native speaker's view
"Down the rabbit hole"は毎日使う英語。YouTubeのおすすめで4時間過ごした後、誰もが一度は言います。"We're all mad here"はTシャツ、マグカップ、Instagramのキャプションの定番。Cheshire Catの笑顔、Mad Hatter、the Caterpillar — 英語メディアが毎週引用しています。ディズニー・マトリックス・パラサイトまでこの本のイメージを借りていく。
About Lewis Carroll
本名チャールズ・ラトウィッジ・ドジソン(Charles Lutwidge Dodgson)。1832年イギリス出身、オックスフォード大学の数学教授であり、英国国教会の助祭(deacon)、そして初期写真術のパイオニアでもありました。1862年7月のある夏の日、オックスフォードの同僚ヘンリー・リドルの三姉妹とテムズ川でボート遊びをしながら即興で語った幻想譚を、次女アリス・リドル(当時10歳)が「絶対本にしてください」と頼んだので、3年後の1865年に出版したのです。生涯結婚せず、数学論文と児童書を並行して書き続けました。1898年65歳のとき肺炎で死去。たった一人の女の子のために語った即興の物語が、英文学史上もっとも引用される本の一冊になった、というわけです。
Personal note
この本は日本語で読むと本当に「不思議」な童話。英語で読むと「天才」な童話。すべてのダジャレ、すべてのパロディ、すべての韻律 — 日本語には移せません。一回目は難しいかもしれませんが、二回目で'Ambition, Distraction, Uglification'のような冗談に気づいた瞬間、英語が違って感じられます。
Who should read this
英語のダジャレを本当に理解したい人,語彙は知っていても英語のジョークが分からない人 — ここがスタート,ディズニー・ティム・バートン映画の原本に出会いたい人,英語詩・韻律の感覚を掴みたい人