Crime and Punishment (罪と罰) — 原書で学ぶ英語 — 読書ガイド

Quick Answer: サンクトペテルブルクの貧しい大学生ラスコーリニコフが「人類のための正義」という論理で老婆を斧で殺害し、その後6週間、自分の良心・幻聴・罪悪感と戦う物語。英語圏で心理小説を語るとき必ず最初に引用される本。

サンクトペテルブルクの貧しい大学生ラスコーリニコフが「人類のための正義」という論理で老婆を斧で殺害し、その後6週間、自分の良心・幻聴・罪悪感と戦う物語。英語圏で心理小説を語るとき必ず最初に引用される本。

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Why read Crime and Punishment?

正直、545ページのロシア小説を英語で読もうと薦めるのは申し訳ないくらいです。でも100ページを越えた瞬間、止まれなくなる。ラスコーリニコフの頭の中が英語で流れていくとき、日本語ではどう読んでも掴めなかった何かが掴めます。「罪悪感」という単語が生きて動く本。

Why it's approachable

英訳はコンスタンス・ガーネット(1914年)版よりピーヴィア&ヴォロホンスキー(1992年)翻訳が最推奨です — ドストエフスキーの荒い呼吸を英語で生かした決定版。語彙は意外と平易ですが文章は長く激情的。本当に難しいのは終わりのない心理独白とロシア人名(ラスコーリニコフ、ソーニャ・マルメラードワ、ラズミーヒン、ポルフィーリイ)。CEFR B2〜C1推奨。

ロシア心理小説を英語に移した文体

On an exceptionally hot evening early in July a young man came out of the garret in which he lodged in S. Place. — 小説の冒頭文。'an exceptionally hot evening'という雰囲気、'garret'(屋根裏部屋)という貧困のディテール — 英語に移したドストエフスキーのシグネチャー。 He was in the deepest distress of mind. — 'in the deepest distress of mind' — 英語で精神的苦痛を格式高く表現するパターン。 He was crushed by poverty. — 'crushed by poverty' — 受動態 + 抽象名詞で作る英語感情描写の精髄。

一人称・三人称が曖昧になる自由間接話法

He had simply heard somewhere or read somewhere... was it possible? — 三人称の語り手がいつの間にかラスコーリニコフの頭の中に入って'was it possible?'と問う。英語自由間接話法の極致。 What if my whole life has been a mistake? — 内的独白を引用符なしで本文に流し込む英語パターン。ドストエフスキー文体の核心。 But why, why? he asked himself. — 一語の反復('why, why?')で人物の狂気を英語に移す方法。

道徳・宗教語彙の英語

Suffering and pain are always inevitable for a large intelligence. — 'Suffering and pain' — 2つの抽象名詞をペアにして英語道徳命題を作るパターン。 Pain and suffering are always inevitable for a large intelligence and a deep heart. — 'inevitable'という一語で悲劇の必然性を英語に刻む。 Man grows used to everything, the scoundrel! — 'grows used to' = 慣れる。'scoundrel'(悪党)を自分自身に投げかける英語自己卑下パターン。

長い文を英語で呼吸を合わせて読む

It was not the shaved heads and the half-shaved heads, it was not the chains, that revolted him. — 'It was not X, it was not Y, that revolted him' — 英語強調構文を2回反復して激情を積み上げる。 He felt that he might have committed the crime more easily had he believed in God. — 'might have committed ... had he believed' — 仮定法過去完了の倒置。英語上級文法の頂点。 His heart beat painfully, his thoughts were confused. — 2つの短い節をカンマだけで結ぶドストエフスキー式英語 — 呼吸が途切れない。

A native speaker's view

英語圏心理小説の頂点。アメリカの大学の一般教養・心理学・哲学・犯罪学の必修で常連。"Raskolnikov complex"は英語の学術用語 — 「道徳的優越感で犯罪を正当化する心理」。映画『テイクン』から『デクスター』まで、英語圏犯罪叙事のほとんどあらゆるキャラクターがラスコーリニコフの末裔です。一人の殺人者の6週間を英語で追っていくと、英語の心理語彙(anguish、remorse、redemption、conscience)が一気に脳に刻まれます。

About Fyodor Dostoevsky

1821年モスクワの貧しい軍医の家に生まれました。父親が農奴に残酷に殺害されたという幼少期のトラウマ。1849年28歳のとき社会主義読書会に加わった罪で逮捕、死刑宣告を受けてシベリアの処刑場で最期の瞬間 — 目隠しをされて銃殺直前 — 皇帝の恩赦令が届いて4年の強制労働 + 5年の兵役に減刑されました。この偽の処刑経験が彼の作品全体に死の重みを刻みます。生涯にわたるてんかん発作、ギャンブル中毒、借金との戦い。1866年カジノで失った金を返すために26日で別の小説(『賭博者』)を速記者に口述しながら、同時に『罪と罰』を完成 — 彼を助けた速記者アンナが二番目の妻になりました。1881年59歳のとき肺出血で死去。トルストイと並んで19世紀ロシア文学の二大頂点。ニーチェは彼を「私が何かを学んだ唯一の心理学者」と呼び、フロイトは精神分析を作る前にまず彼の本を読んでいます。

Personal note

この本を英語で読むには二つの約束が必要です。① 人物の名前が5通り呼ばれても(ラスコーリニコフ = ロディオン = ロージャ = ロジカ = 彼)動揺しないこと。② 100ページまでは眠くても耐えること。100ページを越えた瞬間、ラスコーリニコフの頭があなたの頭になります。そこから止まれません。

Who should read this

心理・犯罪・道徳に関心がある人,英語で「人間の頭の中」がどう表現されるか見たい人,ロシア文学を一度は英語で味わってみたい人,長い本を一冊読み切る経験が必要な人 — 終わると他の本が短く感じる

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