The Little Prince (星の王子さま) — 原書で学ぶ英語 — 読書ガイド

Quick Answer: 砂漠に不時着したパイロットが、小さな星から来た王子に出会う。童話の顔をしているけれど、実は世界一短い哲学書。気づいたら泣いている、そういう本です。

砂漠に不時着したパイロットが、小さな星から来た王子に出会う。童話の顔をしているけれど、実は世界一短い哲学書。気づいたら泣いている、そういう本です。

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Why read The Little Prince?

正直に書きます。日本語で2回、英語で1回読んだのですが、英語版を閉じてから5分くらい動けませんでした。同じ話のはずなのに、別の本を読んだ気がする。「英語の原書、何から始めたらいいですか」と聞かれたら、私は迷わずこれを最初に渡します。理由はちゃんとあります。

Why it's approachable

フランス語の原書をキャサリン・ウッズ(1943)とリチャード・ハワード(2000)らが英訳していて、どちらも語彙が抑えられています。平均文長は10語未満。抽象語が出てきても必ず具体的な絵(キツネ、バラ、星)が一緒に登場するので、辞書なしでも文脈で意味が転がってくる。CEFR A2〜B1レベルで初見でも80%は読めます。

抽象名詞を堅苦しくならずに使う感覚

All grown-ups are concerned with matters of consequence. — 'matters of consequence'はこの本の象徴的なフレーズ。普通の英語にぐっと品が出る。 One runs the risk of weeping a little, if one lets himself be tamed. — risk + weepの組み合わせ。抽象名詞と生々しい動詞をペアにする。 You become responsible, forever, for what you have tamed. — 責任を重い名詞ではなく、形容詞+関係節で表現する自然な英語。

単純過去と単純現在が同居するストーリーテリングのリズム

I lived alone, without anyone I could really talk to. — 単純過去で舞台を用意する。 Grown-ups never understand anything by themselves. — 単純現在で"いつでもそう"という普遍的事実を宣言。 He laughed softly. 'It is only with the heart that one can see rightly.' — 動作は過去、引用された知恵は現在 — 英文小説の基本骨格。

'If you tame me...'のような条件文・仮定法のリアルな使い方

If you tame me, then we shall need each other. — If + 現在, then + shall — 約束を作る古典的パターン。 If you come at four o'clock in the afternoon, I shall begin to be happy by three. — 'shall begin to'のような柔らかな未来形が文章に優雅さを与える。 If someone loves a flower of which just one example exists, that is enough to make him happy. — 仮定法 + 'of which'の関係代名詞。会話では出会いにくい上級表現。

ネイティブが感情を語るときのメタファー構造

The stars are like wells full of laughter. — 'like'を使った最もシンプルな直喩。抽象(笑い)を具体物(井戸)に注ぐ。 My flower is ephemeral, and she has only four thorns to defend herself. — 花を'she'と擬人化。英語で感情を語るときの定番テクニック。 It is the time you have wasted for your rose that makes your rose so important. — 'It is ... that'強調構文 + 現在完了 — 一文に2つの中上級パターン。

A native speaker's view

アメリカでは中学・高校の英語の授業、あるいは大学1年のフランス語の授業の入門書として頻繁に使われます。アメリカ人で『星の王子さま』を読んだことがない人を探す方が難しい。"what is essential is invisible to the eye"のような一節は、もはや英語のことわざのレベルで日常会話に紛れ込んでいます。つまり、この本を知っていると、ネイティブとの会話で"Oh, I love that line!"と通じる瞬間が生まれる。英語を道具として学ぶだけじゃなく、ネイティブが心を動かす場所を一冊で吸収できる、そういう本です。

About Antoine de Saint-Exupéry

1900年フランス・リヨン出身。パイロットでありながら作家でもあった人。郵便飛行士としてサハラ砂漠やアンデス山脈を飛び、1935年にはリビア砂漠に不時着して5日間渇きと戦って生還した — この体験がそのまま『星の王子さま』の砂漠の風景になりました。第二次世界大戦中はアメリカに亡命しており、ニューヨークでこの本を書き上げます。1944年7月、自由フランス軍の偵察機で地中海上空に飛び立ち、そのまま消息を絶ちました — 機体は60年後にようやく見つかります。『星の王子さま』は、彼が消える直前に世界に残した最後の本であり、遺言のような童話です。

Personal note

英語で読んだとき一番衝撃を受けたのが、"tame"という単語の重さでした。日本語の「なつかせる」だと少し動物寄りに聞こえるけれど、英語のtameは「関係をつくる、お互いを必要にする」というニュアンスが前面に出る。キツネの章を英語で読むと、なぜ世界中の人がこの本に何度も戻ってくるのかが腹に落ちます。

Who should read this

英語の原書を最後まで読み切ったことがない人 — まずはこの一冊,古典を難しいと思い込んでいる人 — 200ページ未満、語彙も優しい,アメリカ・ヨーロッパの友達と深い会話をしたい人 — 引用一つで通じます,疲れている大人 — 単純に星の王子さまに戻る時期かもしれません

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